私は、FPの教本を手に取りました。
「税金」「不動産」「保険」……。
これから私の頭を悩ませるであろう言葉たちが、ページの上にずらりと並んでいます。
おそらく、読むのに時間も集中力も必要な分野です。
ところが、ページをパラパラとめくっていると、「わかりやすそう」と思える箇所がありました。
その理由は、内容ではなく“デザイン”にありました。
多くの本文は、国語の教科書などで見慣れた明朝体で組まれています。
ところが、ところどころに、手書き風のフォントで書かれた補足や、イラストが添えられていたのです。
その瞬間、ふっと肩の力が抜けて、「あ、読めそう」と感じました。
販促デザインと聞くと、POPやチラシ、ポスターなど“表向き”のツールを思い浮かべがちです。
けれど本質は、「人の行動を後押しするための、伝え方の工夫」だと思うのです。
だから私は、FPの教本の中にも「販促デザイン」を感じました。
だって、私はまさに「そのページに後押しされて」その本をレジに持って行ったのです。
うまくいかない花屋の販促デザイン
私は、街の花屋で10年以上働いています。
季節ごとにPOPを描いたり、母の日や敬老の日の販促を考えることも日常の仕事です。
ですが、思ったように反応が出ない。
人は通るけど、足が止まらない。「なんか変」──でも、何が変なのかは自分ではうまく言えない。
まるで似合わない服を着ているような、または柄に柄を合わせてしまったような、ちぐはぐな印象。
大手チェーン店のPOPや、他業種のチラシを参考にしても、「おしゃれだけど、何がどう違うんだろう?」という感想にとどまります。
改善点が見えてこないのです。
でも、読書もそうですが「はい、読みました」では内容は身につきません。
その本に、どんな構成で、どんな順序で、どんな言葉を使っていたのか。
つまり、表面をなぞるだけではなく、「なぜそうなっているのか」を観察し、分解し、再構築して初めて理解できるものだと、私は感じました。
デザインも、読み解くものだった
「なんかいい感じ」に見える販促物は、なぜそう見えるのか。
そこには必ず理由があります。
書体や色の選び方、情報の順序、余白の取り方、視線の誘導。どれも偶然ではなく、見る人の“行動”を想定した設計になっています。
私はデザイナーではありませんし、専門的な勉強をしたこともありません。
でも、現場でPOPを書き続けてきた10年と、花屋という“感性と実用が交わる”場所に身を置いてきた経験があります。
このブログでは、そうした自分の視点を活かしながら、「販促デザインとは何か」を観察し、学び、考えていきたいと思います。
このブログでやっていくこと
このブログでは、街中で見かけた販促デザインや、SNSで流れてきた広告、旅先のパンフレットや、店頭のPOPなどを取り上げます。
「このデザイン、なんか惹かれる」──そう感じた理由を、書体、色、構図、言葉などに分解しながら考察。
さらに、「自分だったらこうするかも?」という視点で、販促ツールの案をいくつか作ってみます。
例えばこんな流れです。
- 気になる販促デザインを発見
- どんな要素が使われているかを分解
- 心が動いたポイントを言語化
- 自分なりにアレンジして案を制作
- 花屋としての視点でまとめ
専門家ではないからこそ、試行錯誤しながら考えた過程そのものに価値があると考えています。
「売れる」ではなく「伝わる」を考える
このブログは、「絶対に売れるデザイン」を教える場所ではありません。
ただ、「誰かが一歩動くきっかけになるデザイン」について、考える場所です。
買いたくなる、行ってみたくなる、手に取りたくなる。
その気持ちの芽が生まれるのは、情報の“伝え方”にあるはずです。
花屋としての感性、生活者としての視点、素人としての疑問。
それらを武器に、私はこれからも「販促デザインを考えながら学ぶ」ブログを書いていこうと思います。
では、このへんで。